「子どもの熱中症」どうすればいい?予防&対策を正しく知ろう

気温の上昇とともに増える「熱中症」。例年、テレビなどのメディアでも注意喚起されますが、たいていは大人向けの情報です。そこで今回は「子どもの熱中症」にフォーカス。その予防法や応急処置について、ちあふるクリニック東池袋小児科の院長、杉山尚人先生に教えていただきました。


ちあふるクリニック東池袋小児科
院長 杉山 尚人 先生

弘前大学医学部卒業。北里大学病院小児科、東洋大学学校医などを経て、2022年ちあふるクリニック東池袋小児科開業。日本小児科学会、日本感染症学会所属。

―熱中症とはなんですか。また、熱射病とは違う病気ですか。

 熱中症とは、高温の環境に体が適応できないことで引き起こされる健康障害の総称です。症状はさまざまあり、いくつもの症状が重なって起きることもありますが、医学的には「熱痙攣」「熱失神」「熱疲労」「熱射病」の4つに分類されています。
 このうち、最も重症とされているのが「熱射病」です。40℃を超えるような異常な体温上昇、意識障害、脳をはじめ全身の臓器に障害が起きる多臓器不全など、命の危険にかかわる症状を引き起こします。

―大人とくらべ、子どもが熱中症になりやすいのはなぜですか。

 思春期を迎える前の子どもは発汗機能が未熟で、汗をかくこと(気化熱)によって体にこもった熱を逃がすことがうまくありません。また、夏の炎天下など地面からの照り返しが厳しい場所では過酷な暑さにさらされることとなり、大人にくらべて熱中症のリスクも高まってしまいます。

―子どもの熱中症の予防法を教えてください。

 子どもは自分の体調変化をうまく言葉で表現できません。「機嫌が悪くなった」などちょっとした変化が熱中症のサインだったということもあります。顔色や汗の量にふだんと違った様子はないか、大人が注意するようにしてください。
 気温が急上昇する初夏は、熱中症のリスクが高まります。暑さに体が慣れることを「暑熱順化」といいますが、暑熱順化が進むと発汗量や皮膚の血流量が増え、体にこもった熱を逃しやすくなります。
 本格的な暑さが到来する前から散歩などで体を暑さに慣れさせておくことも熱中症の予防策です。出掛けるときは、吸水速乾性の高い衣類やつば広の帽子など、服装選びにも気を付けましょう。

―水分のとり方のポイントはありますか。

 よく、熱中症対策には「こまめな水分補給」といいますが、水分だけでなく汗によって失われる塩分を補うことも重要です。塩分に2~6%程度のブドウ糖を加えると吸収効率が高まるので、暑い場所で遊んだりスポーツをしたりするときは、水分に塩分・糖分が含まれるスポーツドリンクや経口補水液の摂取がおすすめです。ただし幼児の場合、飲み慣れていないスポーツドリンクなどの味を嫌がって飲まないこともあります。おやつのときに少し飲ませてみるなど、慣れさせておくのもいいでしょう。

―熱中症の応急処置や受診のタイミングを教えてください。

 子どもの様子から「熱中症かも?」と感じたら、すぐに応急処置をしてください。まずは涼しい場所へ移動して水分補給やクーリングを行います。保冷剤や冷やしたペットボトルを脇の下や首筋など太い血管のある場所にあてましょう。保冷剤がない場合は皮膚に水をかけ、扇子などで仰ぐことでも体を冷やすことができます。自力で水分補給ができない、クーリングを行っても症状が改善しないといった場合は治療が必要です。悪化する前に医療機関を受診しましょう。

―子どもが夏を元気に過ごすためのポイントはありますか。

 適度な運動や栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠をとることは、大人だけでなく子どもにも共通する体作りの基本です。とはいえ、大人と子どもでは異なる点も多くあります。
 私たち医療関係者の間では、「子どもは小さい大人ではない」といわれます。子どもは単に体が小さいだけでなく、身体機能が大人とは大きく異なることから、大人と同じように考えてはいけないという意味です。大人は大丈夫だと思っても、子どもたちは過酷な暑さの中を過ごしています。そのことを忘れずに、親御さんや周囲の大人がしっかり気配りをしながら見守ってあげてください。

子育てが盛んなこの地域で子育て世代を助け、応援したい 2022年に開業したちあふるクリニック東池袋小児科。近くには親子連れに人気のイケ・サンパークがあり、子育てファミリー層に住みやすい町作りが進められているエリアです。開業にあたり、「子育て世代を手助けしたい」と考えてこの地を選んだという杉山先生。その言葉通り、具合が悪く保育園などでの保育が難しい子どもを一時的に預かる「病児保育室」を設け、働く親世代をサポートしています。また、「子どもさんが恐がらずに、笑って帰れる施設にしたい」と内装はかわいらしいデザインで統一。小児科のほか、発熱外来やアレルギー科も設けている同院。杉山先生のやさしい人柄ときめ細やかな対応で、子どもやその親をはじめ、一般の大人まで幅広い年齢の患者さんが訪れています。 ちあふるクリニック東池袋小児科 [診療科目]小児科/アレルギー科 発熱外来、病児保育室
[診療受付]月・火・木・金 9:00~12:00、15:30~19:30
      土 9:00~13:00
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住所   東京都豊島区東池袋4-2-1 プラウドタワー東池袋 ステーションアリーナ 303
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最寄駅  東京メトロ 東池袋駅、都電荒川線 東池袋四丁目駅
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