健やかな肌を保つには“予防ケア”が肝心。知っておきたい、冬の乾燥肌対策

湿度が低下する冬は、肌の乾燥が気になる季節。乾燥が進むと肌にかゆみや赤みが出て湿疹化し、さらに悪化することもあります。今回は三軒茶屋あかりクリニックの馬場先生に、冬場の乾燥肌対策と、肌の免疫力UPにつながる効果的なケアについてうかがいました。


三軒茶屋あかりクリニック
院長 馬場 克幸 先生

聖マリアンナ医科大学大学院医学研究科博士課程修了。米国UCSF留学。2011年、あかりクリニック開院。
聖マリアンナ医科大学非常勤講師、同救命救急医学(救命センター)登録医

―肌が乾燥すると、なぜかゆみや湿疹などのトラブルが起きるのですか。

 健康な肌は、皮脂やセラミド、NMFと呼ばれる天然保湿成分によって角層の水分が正常に保たれています。しかし、肌が乾燥すると保水機能やバリア機能が低下して、かゆみを感じる神経が角層近くまでのびてきます。これが「かゆみ」の原因です。神経が過敏になっている状態で肌に刺激物質が触れたり摩擦などの刺激が加わったりするとかゆみが生じ、かくことで皮膚が傷つきます。すると炎症を起こして湿疹化するというわけです。
 いったんかゆみが出ると、寝ている間にかいてしまって悪化するので、かゆみが出る前にしっかり保湿して肌を守ってあげることが大切です。とくに冬に気を付けたいスキンケアのポイントは、「洗いすぎない」ことです。湯船につかっているだけでも皮脂や汚れは落ちますから、むやみに石けんを使う必要はありません。使いたいときは、弱酸性や肌に刺激の少ない洗浄剤を選びましょう。また、顔や体を洗った後は、時間を置かずに保湿するのもポイント。洗顔後やお風呂上がりは肌が最も吸水しやすいタイミングですから、1日2回を目安に、保湿剤で十分な潤いを与えてください。

―どのような保湿剤を選べばいいでしょうか。

 保湿効果の高いものでは、ヒルドイドがよく知られています。ヒルドイドは体内にある「ヘパリン」に似せた物質(ヘパリン類似物質)を有効成分とする医療用医薬品で、クリニックで処方してもらえます。それ以外では尿素入りの軟膏、ビタミンA・Eを含む軟膏などもおすすめです。顔はもちろん、かかとやひざなどのカサつきにも効果的です。

―肌トラブルを防ぐために、生活習慣で気を付けることはありますか。

 睡眠や栄養バランスも肌のコンディションと深い関係があります。睡眠中は肌を活性化させる成長ホルモンの分泌が促されます。たとえば、抗酸化作用を持つメラトニン、また、炎症を抑えて、免疫力を調整するコルチゾールなどのホルモンも分泌されています。睡眠不足になると、これらのホルモンが十分に分泌されなくなってしまいます。
 栄養面では、ビタミンA・B2・B6・Cが「肌に良い」といわれるビタミンの代表です。食事が不規則で栄養バランスが乱れがちな人はサプリメントで補うのもひとつの方法。サプリメントで摂取するのが難しいビタミンAの場合は、ニンジンやかぼちゃなどの緑黄色野菜からとるといいでしょう。

―美容医療を含めたクリニックでの治療を教えてください。

 肌トラブル全般に有効な治療に「超高濃度ビタミンC点滴」があります。ビタミンCは食事やサプリメントからも摂取できますが、経口の場合、体内に吸収される量には限界があり、大量にとっても尿と一緒に排出されてしまいます。点滴の場合は、消化管を通らずに高濃度のままビタミンCが全身に行きわたるので、すぐに効果が実感できるのがメリットです。
 肌の保湿機能は加齢によっても衰えます。たとえば女性ホルモンのエストロゲンは保湿効果を高めてくれる作用がありますが、加齢によって分泌量が減少してしまいます。これを補うのに有効なのが「プラセンタ注射」です。保湿、美白、血行促進など肌のアンチエイジングに効果が認められているほか、更年期障害の改善にも有効です。プラセンタ治療に興味のある方、肌トラブルや更年期症状に悩んでいる方は医師にご相談ください。
 冬の厳しい寒さにも負けない健やかな肌は、正しいスキンケアに加え、睡眠や栄養バランスなど生活習慣によって作られます。さらに積極的な方法として美容医療をとり入れることで、より美しい肌をめざせます。

患者さん一人ひとりの悩みにやさしく寄り添う、町の頼れるお医者さん 大学病院での勤務医時代、泌尿器科の助教授をされていた院長の馬場先生。泌尿器科と皮膚科は領域が重なる部分が多いことから、形成外科、美容皮膚科と診療の幅を広げてきたそうです。「命を預かる仕事だからこそ、しっかりとした信頼関係を築きたい」とおっしゃる通り、三軒茶屋あかりクリニックでは患者さんとのコミュニケーションをとても大切にしています。丁寧で分かりやすい説明、一人ひとりの悩みに向き合いながら最適な治療を提案するという診療方針が信頼を集め、地域の方はもちろん、遠方からも多くの患者さんが来院しています。 三軒茶屋あかりクリニック TEL 03-5430-9055 [診療科目]皮膚科 美容皮膚科 泌尿器科 形成外科
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