目がショボショボして、痒くて辛い花粉症。しかしこのような症状は花粉以外でも起こる可能性があることをご存じでしょうか。今回は長津田眼科クリニックの田中香純先生に、花粉症を含むアレルギー性結膜炎の予防と治療法についてうかがいました。
長津田眼科クリニック
院長 田中 香純 先生
日本眼科学会専門医
横浜市立大学
医学部非常勤講師
―目のアレルギーというと花粉症が知られていますが、ほかにはどんなものがありますか。
体内に入ってくる異物を排除しようとする働きを「免疫」といいます。この免疫反応が、本来は無害なものに対して働いてしまうのが「アレルギー」。アレルギーを起こす物質には、さまざまなものがあります。目のアレルギーを引き起こす物質として代表的なものは、季節性の花粉、通年性のハウスダストやダニ、カビ、ペットの毛などがあります。あまり知られていませんが、コンタクトレンズの慢性的な刺激やレンズに付いた汚れ、市販の目薬の防腐剤などにアレルギーを起こすこともあるんですよ。
アレルギーの原因となるこれらの物質を「アレルゲン」といいます。花粉に対するアレルギーを総称して、一般的に花粉症と呼ばれていますが、眼科的な診断名は、アレルゲンにかかわらずすべて「アレルギー性結膜炎」となります。
―「アレルギー性結膜炎」の症状を教えてください。
主な症状は痒みです。充血や、ごろごろするといった異物感、涙が続くこともあります。コンタクトレンズによるアレルギーの場合は、アレルギー性結膜炎のなかでもとくに「巨大乳頭結膜炎」といいます。上まぶたの裏がぶつぶつして硬化しているため、コンタクトレンズがずれやすくなったり、入れにくくなったりするのが特徴です。
アレルギー性結膜炎の発症年齢のピークは10代ですが、低年齢化していて、2歳ごろから発症することもあります。乳幼児は言葉で上手に意思表示ができませんので、頻繁に目をこするようであれば、一度眼科で診てもらうと良いでしょう。
―「アレルギー性結膜炎」を予防するために、出来ることはありますか。
アレルゲンを寄せつけないことが基本です。ハウスダストやダニ、カビなどの場合は掃除や換気を徹底すること。花粉の場合は、外出時にマスクやゴーグルを着け、帰宅時は衣服に付いた花粉を家に入れないように注意しましょう。防腐剤の入っていない人口涙液を数滴点眼して、目に付いたアレルゲンを洗い流すのも有効です。コンタクトレンズがアレルゲンの場合はできるだけ装着を控えてください。どうしても使わないといけない場合は、1日使い捨てコンタクトレンズを必要最小限度の時間だけ使用するようにします。
―「アレルギー性結膜炎」の治療法を教えてください。
目をこすると、さらに痒みが増してしまいます。手に付いたウイルスや細菌で感染症を起こしてしまうリスクもあるので、目をこすらなくてもすむレベルまで、点眼薬を使って、痒みをコントロールしていきます。主に使われる薬は、アレルギーの症状を起こさないようにする効果のある抗アレルギー点眼薬です。症状が出る前から使い始めるとより効果的です。花粉症など、症状が出始める時期をあらかじめ予測できる場合は、2週間前ごろから使い始めると良いでしょう。
重い症状にはステロイド点眼薬などが用いられることもあります。強いステロイド点眼薬は痒みがぱっと治まりますが、緑内障などの副作用が現れることがあるので注意が必要です。とくに子どもは副作用の発生率が高いので、必ず眼科医の指導のもとで使用してください。
アレルギー性結膜炎の患者さんは、アレルギー性鼻炎などを併発していることが多く、耳鼻科などで点眼薬を処方してもらうケースも多いと思います。しかし他科では眼圧などの計測はできません。ステロイド点眼薬をご利用の場合は、ときどき眼科を受診して、副作用が起きていないかをチェックしてもらうと安心です。
0歳から100歳まで、やさしく患者さんに寄り添う、地域のかかりつけ医 院長の田中先生は、長津田眼科クリニックを開院するまで、神奈川県立こども医療センターで眼科科長を務めていらっしゃいました。そのため子どもの診察が得意。ぐずって嫌がる子どもも、やさしい笑顔で緊張を解きほぐし、手際よく治療してしまいます。
「地域の皆様のかかりつけ医として安心・納得の医療をめざします」と田中先生。できるだけ副作用が少なく、通う回数や費用の面でも患者さんの負担が少なくなるようにという治療方針は大人の患者さんからの信頼も厚く、下は0歳から上は90代まで、幅広い世代が来院しています。 長津田眼科クリニック TEL 045-988-0225 ［診療科目］眼科
［診療時間］9:30～12:30、15:00～17:30（土曜日は9:30～13:30）
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